金持ちになる方法(1/2)

ばぶこ

 誰だって一度や二度は金持ちになりたいと思ったことがあるだろう。幸運にも元々大富豪の家に生まれついた人だって、もっとお金が欲しいと思ったことはあるはずだ。金持ちは人間の永遠の夢である。では、金持ちになるためには、どうすれば良いのであろうか。これは、今日からすぐ始められる、金持ちへのワンステップである。

 まず、金持ちになるためにはお金を手に入れなければ行けない。しかし、仕事をしていない子供の場合それは容易なことではない。主な収入源は親からの小遣いである。これは家庭によって、週に二万円だったり月に二千円だったりと差は激しい。
 そして、バイトをするという手がある。しかし高校生以下だとなかなか難しいし、時間の都合がつきにくいという難点もある。では、もっと簡単に楽しくお金を手に入れるにはどうすればいいのであろうか。
 たとえば、雑誌に載っているアンケート。答えた人全員に何かをくれる場合もあれば、抽選で大金が手に入る場合もある。ただし、葉書を出すのに五十円必要なことを忘れては行けない。たかが五十円でもちりも積もれば山となる。逆に赤字ということにもなりかねないのだ。考えて使おう。
 次に、商店街の福引き。外れでも五十円分の買い物券がもらえたりする。かなりお得である。ただし、福引きをするためには抽選券を二十枚集めなければならない。そして抽選券を手に入れるためには買い物をしなければならないのではないか。いや、そうではない。一銭も使わずに抽選券を手に入れる方法だってある。まず、抽選所の前かレジの横に立っていてみよう。どこぞの主婦のこんな台詞が聞こえてくる。
「これで抽選券が四十二枚だから、えっと、二回やって二枚あまるわね」
そこで恥を捨ててこう言ってみよう。「すいません、後少しで一回抽選できるんですが、抽選券を二枚分けていただけないでしょうか」
大抵の場合そのおばさんは快くそれをくれるだろう。なぜなら、彼女たちにとって余ったものを捨てるというのはもったいない行為であり、心が痛むのである。だから欲しいという人がいれば好都合なのだ。ああ、いいことをしたとその日一日気分良く過ごせるであろう。さあ、これを繰り返そう。いつのまにか手元には二十枚の抽選券。何が当たるかは運次第。健闘を祈る。
 さて、お金を手に入れる上で最も簡単な方法は何か。お金を拾うことである。しかしめくらめっぽうに下を向いて探し回ってもそう簡単に落ちているお金を見つけられるということはない。これにもコツがあるのである。
 一番見つけやすいのは、スーパーのレジ付近。精算する時にうっかり十円玉を落としてしまって気づかなかったりするのだ。または、気づいても急いでいたり後がつかえていたり、または荷物がいっぱいで拾えなかったりする。さあ、落し主が姿を消したらあなたが代わりに拾ってあげよう。
 次に多いのは、自動販売機の下。木の棒か何かで探ってみよう。うまくいけば百円玉や五百円玉が落ちている場合もある。ジュースを買おうとして投入口にコインを入れようとする際にうっかり落としてしまい、もう取れないと思ってあきらめるのだろう。かなりの高確立でお金が見つかる。お試しあれ。同じ原理で、両替機の下なんかにもお金が落ちていることが多い。
 そして次に注目すべきは、自販機や公衆電話のおつり口。最近は携帯電話やテレカの普及で少なくなってしまったが、ちょっと昔はかなりの確立で十円玉があったものだ。相手が電話に出なくて電話を切った時、戻ってくる十円を取り忘れるのである。また、たまにではあるがテレカのとり忘れというケースもある。注意してみてみると良いだろう。

 さて、ここまで延々とお金をためる方法を書いてきたが、お金を手に入れるだけでは金持ちにはなれない。手に入れたお金を一瞬にして使ってしまっては今までの努力が水の泡である。では次にいかにしてお金をケチる、もとい節約するかということについて考えてみよう。
 例えばスーパーの安売りについて。「大売り出し」「SALE」と書いた札を見るとついつい得な気がしてしまうが、それは間違いである。そういうのはたいていはそんなに安くはない。本当に安いのは「タイムサービス」「お一人様二つ限り」「先着百個限り」など、何らかの限定がついているものである。
 また、最近百円ショップというものが増えてきたが、これも安いからといって侮ってはいけない。五百円相当のものを百円で売っているかと思えば、百円の物を百円で売っていることもある。見極めが大切である。また、大きい店だと品揃えはいいが消費税がついて実際は百五円だったりするから注意が必要である。大きい店ではそこにしか置いてないような物を買い、どこにでも置いてある電池やファイル、箱などは消費税のかからない小さな店で買うのがお勧めである。
 日常生活で一番金を消費するのは食費と衣料費であるが、ここにもお金をケチる方法は存在する。まず服について。気に入った服があってもすぐに購入してはならない。三ヶ月後には季節外れとなったその服は半額で売られ、定価で買って一回しか着ていないあなたは悔しがることになるからである。食品も、刺し身などの生物は夜になると安くなるのでそれまで試食品で腹を膨らませながら待とう。そして店員が現れ「20%引き」のシールを貼ったその瞬間をねらうのだ。ただし、たいてい複数のごついおばちゃんがそれを狙っているので、彼女たちに勝つにはそれなりの度胸と根性が必要である。心してかかるべし。

 さあこれで教え残したことは何もない。君も今日から実行してみよう。
「なんだい、そんなみみっちい話。せこいだけじゃないか!」と思われたかもしれない。
 しかし、こうしてちまちまと頑張ってためた数百円のお金というのは、おばあちゃんから「おこづかいですよ」といってすっと渡された千円札なんかよりも、うれしく、ありがたく感じられることがあるのも事実であろう。
 そして、そうしたお金のありがたみがわかれば、本当の金持ちになれる日は近い…はずだ。


--------おわり--------


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