愛の宣告

ばぶこ

壱、下駄箱に

「なあおい、ちょっと聞くが、これをどう思う」
「ん?何?」
「私の下駄箱に手紙らしきものが入ってたのだが」
「え!それってラブレターじゃん?」
「なぬ、これが世に言う恋文というものか。しかし差出人名が書いてないが…」
「そーゆーのってたまにあるよね。で、なんて書いてあるの?」
「放課後体育館裏で待っている、と」
「ほうほう」
「絶対に一人で来いとも書いてある」
「告白するのに友達連れで来られちゃマズイもんね」
「なるほどそういうものか」
「うんうん。で、他には?」
「余計なモノは持ってくるな、必ず手ぶらで来い」
「プレゼントとか気つかわなくていいよってことかな」
「先生に報告したらタダじゃおかねぇ」
「ああ、うち校則で男女交際禁止だから…」
「逃げたら大切な友人が大変な目に会うと思え」
「振られた事をその子の友達に八つ当たりする気?案外小さい奴ね」
「おい」
「ん?」
「…これ、本当に恋文か…?」





弐、理系の男

「ねぇねぇこれ見てー」
「何?フロッピー?」
「彼からのラブレター☆」
「げっ、ラブレターがフロッピー!?」
「うん、長期保存にも向いてるし字も読みやすいし☆彼ってば気がきくのよねぇ」
「いやでも…それ、ワープロ打ちのラブレターと同レベルにヤな感じだぞ」
「いいの。私達らぶらぶだから」
「…そういうもんか?」
「誕生日には私を主人公にしたパソコンゲーム作ってくれたし」
「ヤバイんじゃないの、そいつ?」
「ううん、すっごく頭いいの!数学とかいつもトップだし!」
「いくら頭よくてもなぁ」
「円周率一億桁計算できるし」
「それは彼じゃなくて彼のコンピュータだろう」
「毎週こうやって私のためにステキなプログラム組んでくれるし」
「ラブレターじゃなかったのか、それ」
「実行したら画面に『愛してるよ』とか…」
「悪質な嫌がらせとしか思えんが」
「いつでも私のこと見てられるようにって、こんな小型カメラも」
「ストーカーじゃん」
「今度私の名前のコンピュータウイルス作って世界中に広めてくれるって」
「それは犯罪だ!!」





参、私も…

<両想い>
「僕は、あなたのことが、好きです」
「私も、あなたのことが、好きです」

<ライバル>
「私、○○君のことが好き」
「私も、○○君のことが好き」

<どうしようもない>
「僕は、あなたのことが、好きです」
「私も、私のことが、好きです」





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