うぉ〜ず
おたく戦争
(不審部6人リレー)   第2章 ばぶこ(2/6)


♪どうなってるの〜…エンディングテーマが流れる。
プチン、と僕はTVの電源を切った。

「昨日のウィトゲンシュタイン、かっこよかったよなー」
「うんうん。でも僕はオギワラの方が好きだな」
「そうそう、あの、アームカバーを半分に切って頭にかぶってるあのセンス、いいよなぁー…」
僕の所属する「あにめ部」では、毎日このようなハタから見たらかなり怪しい会話がなされている。
よーするに、どこの学校にでもあるオタクの集団であり、僕はそのオタク集団の一員というわけだ。
毎日放課後集まって、こうして前日に見たアニメに関する討論、というかだらだらとした意見の述べ合いで盛り上がっている。
「でさあ、結局ミノフスキー粒子って何なわけ?」
「よーするに、電気の粒だろ?レーダーをきかなくするための」
「そんなもん作るのって可能なのかよ」
「だからそれを言っちゃ…」
その日もいつも通りこうした会話を長々と交わした後、解散する予定だった。
しかし。その時。
バターンッ!!!
「た、大変だ!緊急事態だっ!!」
「ん、部長、どうした?」
「われわれのほかにも、最強のオタク集団を名乗る団体が現れたんだ」
「何だって!?」皆一斉に叫んだ。ここの部員たちはみな『最強のオタク集団』ということにえらく誇りを持っているらしい。…いや、僕は別にどうでもいいんだけど。
「というわけで、我々は元祖オタク集団として徹底的に抗戦することに決定した。」
…ちょっと待て。
「で、その相手というのは…」
「敵はK号館19番教室にあり」
何だと。「そこにいるのって、確か…」
「ぱそこん部だ。」…やっぱそう?敵はこんぴうたオタクっすか?
「われわれはあにめ部としての誇りを忘れず、あにめ部らしい方法で戦おうと思う」
「というと?」
「文字どおりだ。ただし、火気は厳禁。校則は守ること」
妙なところでマジメなんですねぶちょー。
「ところで」部長がこちらを振り返る。いやな予感。
「君は確か化学と物理は得意だったよな」
まあ確かにそうだけどっていうか部長あなたいったい何を。まさか…
「任務を与える。ミノフスキー粒子の開発」

僕は頭を抱えてその場に座り込んだ。

つづく


第3章へ 総合トップへ 作品展示室トップへ 作者別一覧へ