光の散乱

丸もちタルト

いやそれにしましてもあれですな、世の中やれ不景気だそれ金属バットで殴り殺されただの近頃なにかと暗い話題が世間を賑わしておるようですな。こう暗い話題ばかりやとなんですなこっちまでどうしてもくらい気分になってしまいますな。気分変えよおもてたまに漫才など聞きに行きましても漫才師が不景気だ不景気だと言うておる始末で、せっかく気分転換に来たのになんやばつの悪い気分になってしもたりして。これではいかんというのでお酒など飲みに行きますと、隣で中年のサラリーマンなどがリストラがどうのと何やくらい話をしておりまして、将来どうしよだのなんだのほんとにこの人たちは将来のこと話してる間に気づいたら老人になってるんやと思われるくらいで、まここらへんは若いもんも変わらんようで、どっちにしてもなんや暗い世の中ですな。そこへいくとおばちゃんっていうのはええもんですな。なんせ陽気な人が多い。先日環状線に乗っておりましたところこんなことがあったんです。
「いや、せっちゃんやないの。」
「いや、かずこさん、へ〜こんなところであうとはおもわなんだ。」
かずこ(以下「か」と記す)「ひさしぶりやわ〜、何年ぶりやろ」
せつこ(以下「せ」と記す)「そごうのお惣菜売り場わたしが辞めてからやから、もうかれこれ7、8年は会ってへんのと違う。」
か「え〜、もうそんなになる?月日の経つのは早いね〜。」
せ「そうそう、そごうつぶれたみたいやけどどうなってんの」
か「いやね〜、一応店自体はやってるんやけどお客さんがこーへんようになったわ。パートもなぁ、若い子は他あたれるからどんどんやめていって、わたしらみたいなおばちゃんばかりになってしもて。」
せ「へー、やっぱりそうなるねんなぁー。」
か「そうなんよ。」
せ「ところで最近どないしてるの。」
か「どないもこないもあんた、ちょっと聞いてよ。」
せ「どないしたん。」
か「いあやそれがこないだね、わたしのブラウス洗濯機であろたら色が落ちてしもたんよ。クリーニング代ごまかしたばちがあたったんやわ。」
せ「でもなんでまた色落ちしたんやろ。」
か「それがね、普通の洗剤つこたのがあかんかったんやわ。」
せ「あんた、今なぁ、液体になってる、汚れてる部分に重点的につけて水につけおきしておくタイプあるやろ、あれ使い、わたしもつこてるねんけど、ええわぁ。」
か「へぇ〜、せやけど面倒なことないの」
せ「みずにつけとくだけで、あんた、ひとつも面倒なことあらへん。」
か「へぇ〜、そらええこと聞いた。それにしても、せっちゃんなんでもよう知ってるなぁ。」
せ「いや、こんなことでそんなたいそうな。」
か「そんな謙遜しなさんな。・・、」
とめどもなく続く会話のあいだも窓の外は光で満ちていた。


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