Ring of Eternity

いづみ



 ―おとぎ話のような夢物語だった。
 だけど、それを信じるしかなかったんだ。


 日が落ちたばかりの薄赤い空。棚引く雲は陽の光を残して鮮やかな橙に染まっている。
 人に溢れ賑わう街並み。威勢のいい呼び込みの声。獣肉の焼ける香ばしい匂い。暑いほどに漂う熱気。夕暮れの通りには露店が軒を連ね、そこに集う人々と相まってこの裏通りの細い道を埋め尽くしていた。
「これなら、これならきっと…!」
 人々が道を行くそんな中、緩やかなその流れに逆らうかのように必死に走る一つの小さな影があった。
 短く切った赤色の髪、吊り上がった目と楕円の瞳、側頭部で揺れるのは一対の猫の耳。
 ―彼の名はローヴェ。ハーフキャットの少年は、胸元に小さな何かを握りしめて全速力で走っていた。
 両手の中にあるのは紫色の小箱だ。二つの掌で包み込めるほどのその小さな箱は、滑らかな布を張られて金の縁取りまでされたひどく高価そうな品だった。
 だがそれは、薄汚れた灰色の衣に身を包んだまだ十二歳ぐらいにしか見えない少年が持つにはいささか不適当な品といえた。
 ローヴェは一心に走っていた。通りに広がる店には目もくれず、道行く大人にぶつかっても謝罪の言葉を口にすることもなく。両手でその小箱を大事そうに抱えながら走り続けていた。唇をきつく結び、見開いた目でただ前を見つめて。
 まるで、何かに間に合わせようとするかのように。
 真っ直ぐに走る細い足が強く地面を蹴る。靴の下で砂利を散らしてローヴェは道を折れた。
 裏通りの中でも中心的なこの通りから更に脇の細い道へと入る。
 隙間を埋め尽くすように立ち並ぶ家々に囲まれた脇道は、空までも張り出した建材に覆われ、暗く日の光の差さない場所だった。
 道端には座り込む老人や酒瓶片手に眠る男の姿もあったが、それらも無視してローヴェはなおも走った。つき出した出窓をくぐり、投げ出された汚物を踏みつけ、転がる木箱を飛び越えて。
 やがて暗い通りの果てに、差し込む一筋の光が見えた。
「もうすぐだ!」
 険しく思いつめたかのようだったローヴェの表情に初めて変化が現れた。閉じていた唇がほころび年相応の笑顔へと変わる。
 ここを抜ければ神殿はもう目の前だ。あと少しで―。
「―待て。」
 目の前に男が現れたのは、その瞬間だった。

 全くの突然だった。
 まるでこの道を先回りしていたかのように、暗がりから男は姿を見せた。
「…待てと言われて、待てるかよっ!」
 灯りのない裏通りの更に奥、暗がりの中では相手の顔を見定めることも難しい。ローヴェは突然現れたその男には構わずに一気にその横を駆け抜けようとした。
 男が一瞬戸惑ったかのように身を引く。ローヴェは勝ち誇ったような笑い顔を見せてその隙間を通り抜けた。
「地に宿りし眼なき蛇よ奴の足を捕らえよ(クラウル・ウォルム・ラン・フェイル・リム・ドミナ・へ・フォー)。」
 だが、男の口から聞こえたのは呪文を詠唱する声だった。
 次の瞬間、ローヴェは足を着いた地面が沈み込むのを感じたと思った―時にはもう転んでいた。
「うわあっ!」
 勢いに引きずられるようにそのまま前へとつんのめる。ローヴェは無理に止まろうとはせず、身を縮めるとその勢いを利用して大きく前転をした。
 足が地面を離れた時に初めて、足首を掴んでいた何かがあってそれがちぎれたのが分かった。
 片手で身を起こしてすかさず振り返る。
 男は、右手を地面に向けてかざしたままこちらを見つめていた。
 目が慣れてきてその様子が分かる。薄汚れた服に皮の鎧らしきものを身にまとい、背に長弓と腰に矢筒を提げている。そして短く刈り上げた髪から飛び出ているのは、長く尖った耳だった。
「―なっ、何でエルフがこんなところにいるんだよ!」
 ローヴェは思わず声を上げていた。だが、男はそれを意に介した様子もなく静かに言った。
「指輪をよこせ。」
 感情を見せない冷たい口調。
 その言葉を耳にした瞬間ローヴェは青ざめたが、片手で持った小箱を更に強く握りしめると男を強く見返した。
「アンタ雇われ冒険者だろ。やだね、これは絶対に渡すもんかっ!」
「…抵抗するな。指輪さえ渡せば危害を加えるつもりはない。」
 かみ合わない会話。男は、ローヴェの言葉に答える様子など全くなく、ただローヴェの手にしている物を奪おうとするだけだった。
「―これを返すぐらいなら死んだ方がマシだっ!」
 ローヴェはそう叫ぶと、再び出口に向かって全力で駆け出した。
 背後で男の声らしきものが聞こえたが、構うものか。ここさえ抜ければ街中に出るからあの男だって下手なことはできなくなる―。
 そう考えた瞬間、背中に鈍い衝撃が走った。


 その噂を耳にしたのは、つい二日前のことだった。
 まるで子供のおとぎ話のような夢物語。信じる者なんて誰もいなかったし、ローヴェ自身信じていなかった。
 だけど。それが街一番の富豪のクラフェティの屋敷にあって更に大事にしまわれていると聞いたから、少しだけ信じられる可能性はあった。
 ―何より、もう他に頼れるものなんてなかった。
 イリーネは目を覚ますことさえなくなっていたのだから。


 次の瞬間、吹き飛ばされたローヴェは道端の木箱に頭から突っ込んでいた。
 砕けた木片が肌を引っかいて細かな傷をつける。だけどその鋭い痛みで、すぐに意識が戻った。
「大人しくしろと言っているだろ。次はもう手加減しないぞ。」
「…誰が、渡すかよ…。」
 男の声が聞こえる。木屑を払い落としながらローヴェは立ち上がった。その片手にはまだしっかりと小箱が握られている。
 顔を上げたローヴェの向かいで、男は何故か首を小さく左右に振った。
「それがどういうものか分かっているのか。」
 男の口調は相変わらず冷たかったが、これまでの無感情なものとは異なり多少の苛立ちらしきものがそこには混ざっていた。
 だがそんなことはどうだっていい。ローヴェは反発するように吐き捨てた。
「知ってるさ、この辺のヤツなら大抵知ってるぜ。」
 しかし、それに対して男が答えた口調は静かであり同時にひどく重いものだった。
「―その話は違う。」
「なっ…。」
 ローヴェは一瞬絶句した。が、次の瞬間激しく首を振って叫んだ。
「…だまされるか!そう言ってこれを取り返すつもりなんだろ、そんな手には引っかかるかよ!」
「何をっ!」
 男が反論しようとするが、それを無視してローヴェは走り出そうとした。
 この細道の出口まであとほんの少し。そこさえ抜ければ、神殿にはすぐに入れるのだから。
 ただ魔法を警戒して顔だけは男の方に向ける。
 男は、かざしていた手を怒りを堪えるかのように一瞬強く握りしめると今度は両手をつき出した。
「………。」
 呪文を唱えてるらしい声がかすかに耳に届く。
 その直後、男の姿は奇妙に歪んでよく見えなくなった。
 予想外の光景にローヴェの足がわずかに緩む。
 だが次の瞬間、何か(・・)が勢いよく自分に向かってくるのを見てローヴェは目を見開いた。
「―っ!」
 横に飛んでそれをかわす。
 緩やかな弧を描いて高速で飛んできたそれは、ローヴェがさっきまでいた場所を通過すると近くの壁に激突して大きな水音と共に飛び散った。
 壁にクレーター状の穴が開く。
 呆然とそれを見ていたローヴェは、直後顔にかかった飛沫を慌てて拭った。
 それは、水だった。
「…手加減しないと言っただろう。」
 再び聞こえた男の声にローヴェは振り返った。
 その姿は相変わらず歪み、揺らめいている。だが目を凝らすとそこに何かがあることに気がついた。
 大きな水の塊が宙に浮いている。水の向こう側に立っていたので、男の姿が見えにくくなっていたのだ。
 揺らめく水の向こうからまた言葉が聞こえた。
「もう一度だけ言う。その指輪を渡せ。」
「いくら脅したって、これだけは渡さないからな。」
「…骨折しても治してはやらんぞ。行け(イクスパ)っ!」
 再三の言葉をきっぱりと拒絶したローヴェに対し、男はあきらめたかのように首を振るとその水の塊に向かって手を振った。
 ローヴェはすぐさまその場を飛び退いた。再び水の塊がその後を通過し、壁へとぶつかって飛び散っていく。
 轟音と共に、立ち並ぶ家々が小さく揺れた。トロールの怪力にも匹敵するようなその力。目の当たりにしてローヴェは背筋が寒くなるのを感じながらも、胸に抱えた小箱だけはきつく抱きしめたままその足で再度大地を蹴った。

 汗が額を伝う。ずっと激しく動いているからなのか、それとも冷や汗なのかは自分でもよく分からなかった。
 空いた片手で額を拭うとローヴェはまた飛んできた水の塊をかわした。
 その後では土をえぐって泥水が跳ね上がり、箱を砕いて欠片が撒き散らかされ、家壁に傷がつきひびが走っていく。
「―この、ちょこまかとっ!」
 男は怒ったような声を上げたが、それでも水の塊は正確にローヴェを狙って何度も襲いかかってきた。
 暗がりでその姿が見えづらい上に恐ろしく強い力で飛んでくる。細い道とはいえ上下に広がりがあることと、水の軌跡が大振りであることだけが救いだった。
 だが、気がつけば道端にあった物の大半が砕かれ、あちこちの壁には大きな窪みができていた。
 こんな家並みの中なら騒ぎに腹を立てて出てくる荒っぽい奴が幾らでもいそうなものだが、顔を出した者は振るわれるこの魔法の力に恐れをなしたのかすぐに引っ込みそれきり沈黙を保っていた。どさくさまぎれに逃げ出そうにも肝心のその助けがないのだ。
 出口の光まではあと数十歩だというのに。その距離が、ひどく遠い。
 何でもいいから使えそうな物を探して改めて辺りを見回したローヴェは、それまでは道端に置かれた物の陰に隠れていて見えなかったが瓦礫の側で動く影があることに気づいた。
 次の瞬間また飛んできた水の塊に気づいて慌ててその場を飛び退く。
 派手な音を立てて、既に壊れている瓦礫がまた飛び散った。
「…なんだぁ、うるさいな…。」
 だが、その後の一瞬の静寂の中に響いたのは、呂律の回らない口調だった。
 襤褸切れをめくって姿を見せたのは赤ら顔のやせ細った老人だ。その手には半分ほど中身の入った酒瓶が握られている。
 突然の乱入者に、男は一瞬戸惑ったのか次の攻撃は飛んでこなかった。
「―じいさん、ごめんよ!」
 一方、ローヴェはためらうことなくその老人の元に駆け寄った。
 老人が何か言うよりも早くその手から酒瓶をひったくる。そして次の瞬間、男に向かって思いっきり投げつけた。
「うわっ!」
 出し抜けの行動に男が驚きの声を上げる。しかし水の塊がその前で凝縮し、飛んできた酒瓶の正面に立ち塞がった。
 勢いよく飛んできた瓶は、魔力を帯びた水の中に飲み込まれることはなくてそれに激突し砕け散った。
 澄んだ音を立てて硝子の破片が散らばる。同時に飛び散った酒は、同じく液体である目の前の水の中に溶け込んでいった。
「―しまった、水が…!」
 男が慌てた声を上げる。次の瞬間浮かんでいた水は力を弱めてその形を崩した。
 男は一旦魔法を解除してこの水を解き放った。大量の水が地面に落ちて水溜りを作る。
「…てめえ、おれの酒を返しやがれ。」
 しかしその向こう側に現れたのは、さっきの老人だった。酒に焼けて赤く血走った目が男を睨みつけている。
「なっ、―それはあの小僧が、」
「何だぁ、てめえ喧嘩売ってんのかぁ?さっさと酒をよこせって言ってんだろうが。」
 男は反論しようとしたが、老人は聞く耳などもたずそのまま男に絡んできた。よろめく足取りで男へと掴みかかる。
 うろたえていた男は、自分の服を掴まれたところでようやく我に返った。胸座を掴む細い手を無理やり引き剥がしてその顔を上げる。
 だが、ローヴェの姿はもう通りになかった。


 屋敷に忍び込んだのは夕方だった。
 さすがに真っ昼間から入ることはできそうになかったけれど、残されている時間はもうなかったからだ。
 人目を避けて屋敷に入るまでは一苦労だったが、中にさえ入ってしまえば後は楽だった。盗賊など恐れるに足らずと思ってでもいるのか召使いなどが見回る姿もない。
 宝物が収められている部屋にはさすがに鍵がかかっていたが、これも針金で何とか開けることができた。
 そして、その中にそれはあった。
 部屋の奥、机の上に無造作に置かれた紫色の小箱。うっすらと埃が舞う部屋の中でこれだけが真新しかったからすぐに分かった。
 箱を開く時は少しだけ手が震えた。幸い、罠はしかけてなかったらしくあっけなく開いた。
 赤黒い宝石がトップに輝く金の指輪。
 噂に聞いていた物に、間違いなかった。


 ローヴェは一目散に脇道を抜けると、頭に布を被って表通りへと急いだ。
 酔っ払いに「酒はあっちだ」と焚きつけて、その合間に急いでその場から逃げ出したのだ。
 もう一、二撃ぐらいは覚悟していたが、何故か男は魔法を止めたようだったので楽に逃げ出すことができた。
 こうやって目立つ赤髪と耳を隠して人込みに紛れてしまえば多少は見つかりづらくなるし、見つかったとしてもあんな派手な魔法は使えないだろう。
 ローヴェは後方を振り返った。
 通りに立ち並ぶ街灯に光が宿っている。その向こう、濃い藍色の空には瞬く星も見える。気がつけばもう夜になっていた。
 どれだけの時間を無駄にしたのかは分からなかった。あの魔法をかわすだけで必死だったからだ。
 だけどそんなことは、もうどうでもよかった。あのエルフの男が本当に雇われていたのかもどうだっていい。とにかく今は急いで神殿に行くだけだ。
 前に向き直る。通りの先には、神殿の入り口を照らしている白い光が見えた。
 僧侶が言っていたが、闇の中で迷わないようにと神殿の光は一晩中燈されているらしい。
 あそこでイリーネが待っている。
 ローヴェは垂れ下がる布の端に隠すようにして抱えた小箱を、そっと握りこんだ。


 イリーネと出会ったのは、家を出てから三年ぐらい経っていた時だった。
 人間の父親との折り合いがつかなくてあの家を飛び出した。それから一人で、裏通りの中で生きてきた。
 体は小さかったし力こそなかったが、足の速さと身のこなしだけは裏通りの住民の誰にも負けなかったから一人でも生きてこれた。
 一人で生きてこれた。だから、これからも一人で生きていくつもりだった。
 イリーネと出会ったのはそんなある日だった。

 始めは全くの偶然だった。きれいに着飾ったお嬢様が、どういうわけかこの裏通りでうろうろしていたのだ。
 すぐさまちんぴらに絡まれた。ただ、絡んでいたちんぴらが最近喧嘩した相手だったので、そいつらへの嫌がらせのつもりでその女の子を逃がしてやったのだ。
 連れ出すと、さっきまで泣いていた少女はにっこりと笑ってこう言った。
「ありがとう。私はイリーネ。あなたは何ていうの?」
「…ローヴェ。」
 また泣かれたら困るので、仕方なく自分の名を教えた。
 そうしたらイリーネは嬉しそうな笑顔を見せてくれたので、こっちも少しだけ嬉しくなった。

 イリーネはやっぱりお嬢様だった。街でも有名な商人の家の子で、娘の一人らしい。
 ここに来たのは世話役の男の人とはぐれてしまって道に迷ったからだった。
 家まで送ることはできないけれど、とりあえずちゃんとした大人のいる表通りまで案内した。
 そうしたら別れ際に彼女はこう言った。
「ありがとう、ローヴェ。また会いましょうね。」
 そんな言葉は信じられなかったから、何も言わずにそこから離れた。
 最後にイリーネが見せていた顔は寂しそうだった。

 それから一週間後。
 イリーネは、また一人で裏通りにやってきた。
 大慌てでその場から連れ出してとりあえず自分の部屋へと連れてきた。
 どうしてこんな所に来たんだ、と聞いたらイリーネはあの嬉しそうな笑顔でこう言った。
「また会いましょうって言ったでしょ。だから、会いに来たの。」

 それから、イリーネと友達になった。

 イリーネは週に一度、一人でここにやってきた。
 世話役の人には、友達の所にいるから心配しなくていいと言ってあるそうだ。
 それで世話役の人が信用するとは思えなかった。
 だけど、とりあえずイリーネの話をもっと聞いてみた。
 家には跡継ぎの兄や生まれたばかりのかわいい妹がいて、自分の面倒を見てくれるのはその世話役だけらしい。だけどその人も、色々と忙しいらしくて自分とはあまり一緒にいないという。
 そう言って微笑んでいるイリーネの顔は少しだけ寂しそうだった。
 それで、何となく分かった。

 それから毎週、イリーネと会った。
 昼頃になるとこの通りの入り口の所にやってくるから、それを待っていてすぐに危なくないよう自分の部屋へと連れてきた。
 夕方までたわいもないおしゃべりをするぐらいだけだったけど、それでもすごく楽しかった。

 だけど。半年ぐらい経ったある日、イリーネが倒れた。


 神殿入り口の大階段を駆け上る。
 正面の門は、いつでも開いていた。
「こんばんは。」
 すっかり顔見知りになった門番の男性が声をかけてくる。
 ローヴェも挨拶を返すと、そのまま走って神殿の奥へと向かった。
 廊下を抜けて扉を開け、神殿の中の別棟へと移動する。
 その入り口まで駆けつけたところでローヴェは足を止めた。
 深呼吸して、滲んだ汗を拭う。それから被った布を外してそれで体の汚れをとりあえず払った。
 身支度を整えたところで目の前の木戸を叩く。
「はい。―ああ、ローヴェ君ね。」
 中から姿を見せたのは、いつもの僧侶の女性だった。
「こんばんは。あの、イリーネはどうですか?」
 ローヴェが尋ねると、女性は悲しそうな顔で首を横に振った。
「今日も眠っているの。…入る?」
「はい。」
 女性の許可を得てローヴェはこの別棟―神殿内の療養所へと入った。


 イリーネはすぐさま神殿へと連れていかれた。
 そこで初めて、イリーネが病気にかかっていたことが分かった。
 僧侶が言うにはひどく難しい病気らしくて治療の方法もよく分からないという。
 自分にその病気を治すことはできないけれど、でもこの神殿でイリーネが寂しくないようにとなるべく多くここにやってくることにした。
 外に出られなくなったイリーネに変わって、今度は自分が色々な話をした。
 そんな話を聞いている時は、イリーネはまたあの嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

 それでも病気は少しずつ重くなっていった。
 始めの頃は会いに行く度ベッドの上で体を起こしていたイリーネが、いつの間にか起きられなくなって、それから少ししたら手を上げることもできなくなっていた。
 最初に倒れてから、一年。
 イリーネはもう、笑うこともできなくなっていた。


 ローヴェと僧侶の女性が立つ目の前のベッドには、一人の少女が眠っていた。
 小さな体を白いローブに包んで静かに眠っているように見える。
 だがその体は痩せ細り、頬はこけて閉じた目の周りにもうっすらと隈ができていた。
「…イリーネ。」
 ローヴェは跪くと、力なく置かれたその手をそっと取り片手で握った。
 四日前に来た時には、まだここまで痩せてはいなかったはずなのに。
「私はしばらく他の人の様子を見てくるから、それまでここにいてね。」
 女性がその背後から声をかけて小さなランプを脇に置く。
 いつもの言葉に、ローヴェは振り返ることもなく無言でうなづいた。

 足音が遠ざかっていく。
 それが聞こえなくなってから、ローヴェはそっと振り返りランプを手に辺りを見回した。
 女性の姿はない。部屋の中には他の病人がいるようだが、大半はもう眠っていたし他の灯りを落としたこの部屋なら気をつけていれば見られる心配もなさそうだった。
 ローヴェは自分の服の胸元に手を入れた。
 そこから薄汚れた布を引き出す。
 その中から現れたのは、あの紫色の小箱だった。
 念を押すようにもう一度だけ辺りを見回す。
 他の人物の気配がないことを確認してから、音を立てぬようにその箱を開いた。
 宝石が暗がりの中であの赤い輝きを一瞬見せる。
 ローヴェは再度イリーネの手を取ると、その細い指に、手にした指輪を滑らせた。


 『永遠の命を保つ魔法の指輪』
 噂されていたのは、信じられないような力を持つ魔道具(マジックアイテム)。
 その力があれば、病に倒れ死を目前としたイリーネが助かるかもしれなかった。
 ―それが、ありえないような魔法だとしても。


 ローヴェは指輪から手を離すと、イリーネの手を再びベッドの上へと戻した。
 静かに眠るその様子には何も変化はない。
 それを黙って見ていたローヴェは、目を閉じるとそっと自分の両手を合わせた。
 誰でも、何でもいい。どうかイリーネを助けて下さい―。
 神なんか信じられなかった。だから、ローヴェは何かに向かってただ祈った。この神殿でイリーネを今まで助けられなかった神ではなく、自分の願いを叶えてくれる何かに向かって。

「…。」
 どれほど祈ったのだろう。かすかな吐息が聞こえて、ローヴェは目を開けた。
 それはイリーネの寝息だったのかもしれない。
 だけどローヴェは身を起こして、イリーネの顔をじっと見つめた。
 泣くわけにはいかなかった。涙を流したら、イリーネの様子が見れなくなってしまうから。
 ローヴェは両手をきつく握りしめた。力がかかって、ベッドがぎしりと音を立ててきしむ。
「……?」
 その音に混じって、小さな声が聞こえた。
 ローヴェは目を見開いた。
 イリーネの唇が、小さく動いていた。
 睫毛がかすかに震えている。
 そして、彼女はそっと目を開いた。
「…ローヴェ?」
「―イリーネっ!」
 あの黒い瞳が、自分をまた見つめていた。
 その顔が嬉しそうにそっと微笑む。
「ローヴェ…。」
 イリーネがそっと手を伸ばした。
 震えるその小さな手が、ローヴェの胸元へと触れる。

 次の瞬間、その瞳の色が消えた。



 目の前に灰色が広がっていた。
 それに手を伸ばそうとして、初めて自分が横たわっていることに気づいた。
「…?」
 朦朧とする意識。
 片手を額に当ててどうにか体を起こす。
 不意に、背後で轟音が聞こえた。
「―っ!」
 振り返ったローヴェが目にしたのは、崩れた療養所だった。

「…気がついたか。」
 そして突然聞こえた覚えのある声にローヴェは辺りを見回した。
 声の主は、自分のすぐ近くにいた。
「あ、あんたはっ!」
 瓦礫の中、腰を下ろしていたのは裏通りで襲いかかってきたエルフの男だった。
 痩身に青い髪と瞳、緋色の衣に身を包み色白の顔で自分を睨みつけている。
 再び現れた男にローヴェは思わず後ずさったが、男が魔法を使おうとする様子はなかった。ただじっと自分を睨んでいるだけだ。衣と同じく赤色の手袋を着けた手で腹を押さえながら。
 ―いや、それは血だった。手では押さえきれないほどに流れた血がその服を赤く染めている。男は血の気のない顔で自分を見つめていた。
「い、いったい何があったんだよ!」
「…あれを見ろ。」
 声を上げたローヴェに対して男は顔をしかめながらそう言うと、その正面を指さした。同時に背後からまた轟音が響く。
 ローヴェは振り返った。
 その先の闇の中では、何か大きなものが動いていた。
「何だよ、あれ…。」
 時折虚空に閃光が走る。光に照らし出されたのは、小屋ほどもある巨体の怪物の姿だった。
「ビヒモスだ。」
「えっ。」
「異界に棲まいし災厄にして大地の支配者。地の魔力を宿す魔物だ…。」
 そう言うと男はひどく疲れたかのようにため息を吐いた。
「―そんなことはどうでもいいだろっ!そうじゃなくて、何であんなのがここにいるんだよ!」
 ローヴェは声を荒げたが、次の瞬間男の冷ややかな目に息を飲んだ。
「…お前は知らなかったのか?」
「何を―。」
 戸惑うローヴェに向かって、男はただ静かに言い放った。
「お前が、あれを呼び出したんだ。」

「―そ、そんなのオレは知らないっ!」
 突然の思わぬ言葉にローヴェは激しく首を横に振った。だが男はそれに構わず冷たい口調のまま淡々と続けた。
「たとえ知らなかろうと、あれを呼び出したのはお前だ。」
「オレは何も―!」
「お前が指輪を使った。だから、あれがここに現れた。」
「…えっ?」
 その一言を耳にして、ローヴェは動きを止めた。
 指輪。永遠の命を保つという魔法の指輪。その力で、イリーネを助けようとした―。
「―そうだ、イリーネは!あいつは無事なのかっ!」
 叫んだローヴェは慌てて立ち上がろうとしたが、バランスを崩してその場にまた倒れた。
 右足に鈍い痛みがある。どこかで捻ったか何かしたようだった。
「…イリーネ?」
 男が訝しんで聞き返してくる。
「そうだよ、イリーネだ!オレはあいつを助けようと指輪をはめたんだっ!」
 背を向けたままローヴェはそれだけ答えると、もう一度立ち上がろうとした。瓦礫に手をついて体を支える。
「―このバカがっ!」
 その瞬間、男が叫んだ。
 思わず振り返ったローヴェは、男が怒りの表情を見せているのにうろたえた。
 それは、今までこの男が見せたこともないような激しい怒りだった。
「お前は自分が何をしでかしたか分かっていないようだな!」
「何を…。」
 戸惑うローヴェの目の前で男は突然立ち上がった。
 だが片手はまだ腹に当てたままであり、今なお血がその傷口から滴り落ちている。
「来い。そして、お前がした行為をその目で見るんだ。」
 唐突な言葉だった。
 だが、ローヴェはそれに逆らうことができなかった。

 傷を負った男に半ば引きずられるようにして、ローヴェは神殿の奥へと歩いた。
 そこには、地面にくず折れた巨大な魔物の姿があった。
 青黒い肉の塊。つき出した太い足と血を流す目が、それが四足獣に似た姿であることを辛うじて示していた。
 その全身にはうっすらと光る白い糸が巻きつき、あちこちの傷口からは黒色の血が流れている。
 魔物は時折身を震わせるが、その光の糸に体を縛られているのか身動きはできなかった。
「これが、ビヒモス…。」
 聞いたこともない名を、ローヴェは呟いた。
「ああ。そして、お前が招いた災厄だ。」
「そんな、オレはっ!」
 ローヴェは反論しようとしたが、その言葉は途中で止まった。
 辺りは散々たる有様だった。陽を受けて白く輝いていた神殿は半ば瓦礫と化して跡形もない。周囲にいるのは駆けつけた神官たちだが、その大半は傷を負っていた。瓦礫に背を預けるようにして座り込んでいる。辛うじて怪我の少なかった者だけが杖を片手に光の糸を保っていた。
 災厄。まさにこれは、災厄を受けた人々の光景だった。
 だがローヴェは首を横に振ると、拳を握って再び男を睨みつけた。
「そんなことよりも、イリーネはどうしたんだよ!答えろよっ!」
 自分でも気づかないまま精一杯の声で叫んでいた。
 だが男は、それに冷ややかな目を向けると右手をかざした。
「あそこだ。」
 伸ばした人差し指が指し示す。ローヴェはその方向に視線を向けた。
 だが、そこには横たわる魔物がいるだけだった。
「あそこって、あの魔物がいるだけじゃないか!」
 ローヴェがなおも叫ぶようにして聞き返す。
 すると男は、おもむろに手を伸ばすとローヴェの頭を掴んでその顔を強引に魔物の方へと捻じ曲げた。

「まだ分からないのか!あの魔物がお前のイリーネなんだ(・・・・・・・・・・・・・・・)。」

 握りしめていたローヴェの拳が、落ちた。
「…嘘だ。」
「嘘じゃない。」
「嘘だっ!」
「嘘ではないと言ってるだろうがっ!」
「嘘だ、あんなのがイリーネなわけがないっ!絶対に嘘だっ!」
 ローヴェは絶叫すると、頭を掴む男の手を振りほどいて駆け出した。
 そのまま男が指さしていた方向―魔物が横たわる場所へと駆けていく。
「イリーネ、いるなら返事してくれよ!イリーネっ!」
 叫びながらローヴェが走っていく。
 その姿に気づいた神官らが急いで彼の元に駆け寄った。魔物の元に走ろうとする彼を止めようと前に立ち塞がる。
 駆け抜けようとしたローヴェだったが足の方が動かなかった。取り囲む神官らが彼を掴み、その場に押しとどめる。
 腕を掴まれ、肩を押さえられ、それでもローヴェは走ろうとした。
「イリーネ、どこにいるんだっ!」
 ただ、先へと向かって。
「イリーネーっ!」
 彼が喉も裂けんばかりの叫びを上げたその時。
 横たわる魔物が、その身を起こした。

「―っ!」
 その場に響いた轟音に、ローヴェは思わず耳を押さえてうずくまった。
 同時に大地が鳴動する。
 耳を聾するほどのうなり声がその場に響き渡り、それに答えるようにして大地が震えていた。
 崩れかけていた神殿が更なる倒壊を始める。だが悲鳴と衝撃はこの叫びにかき消されていた。
 自分を押さえる神官の手が緩んだことに気づいたローヴェは顔を上げた。
 その視線の先では、束縛され傷ついた魔物がなおも逃れようと叫びを上げていた。
「イリーネっ!」
 どこにいるのかも分からない、無事なのかも分からない。だけど探さなくちゃいけない。
「イリーネ、返事をしてくれっ!」
 押さえた上からなお魔物の声が耳を襲う。これでは、イリーネのあの小さな声は聞こえそうにない。
「…黙れよっ!」
 叫びが邪魔だ。うるさい、お前は邪魔だ。
「黙れーっ!」

 不意に、音が消えた。
「…え?」
 ローヴェは耳を押さえていた手を離した。
 遠くに悲鳴や神官らの声が聞こえる。耳が聞こえなくなったわけではなかった。
 ただ、突然魔物の声が止んだ。
「…ようやく分かったか。」
 背後からまた男の声が聞こえる。
 振り返った先には、瓦礫に身を預けるようにして立つ男の姿があった。
「…嘘だ。」
 ローヴェはもう一度呟いた。
 男はそれを見つめていたが、やおらその場に座り込むと静かに言った。
「お前は、あの指輪を何だと聞いていたんだ。」
 うつむいていたローヴェはその言葉に顔を上げた。男の静かな目がそこにあった。
 言葉は、自然と口をついて出た。
「―オレは、あれが『永遠の命を保つ指輪』だと聞いた。」
「ほう。」
「だから、それでイリーネを助けようと思ったんだ。」
「イリーネ?」
「人間の少女。病気でここにいた。もう目を覚ますこともなくなってたけれど。」
「そうか…。」
 男が答える口調は、かすかに痛ましげだった。
「…だが、あの指輪はそんなものじゃない。」
「え。」
 目の前のローヴェに対し、男は皮肉気な表情を見せて吐き捨てた。
「永遠の命を保つ、か。なるほどな。確かに死せざる者は永遠に活動ができるだろう。」
「死せざる者…?」
 ローヴェが聞き返す。
「不死の魔物(アンデッド)だ。」
「アンデッド?―そんな、どうしてそんなものがっ!」
 驚くローヴェの前で、男は目を閉じるとわずかに黙考したようだった。
 そして説明を始めた。
「…あの指輪は、お前が思うような命を与えるものじゃない。あれは死者を忌まわしき形で蘇らせるための品だ。死体にあの指輪をはめることで、命令を聞く不死の魔物としてその肉体を使うための道具に過ぎないんだ。」
「それじゃ…。」
「生きている者に使えば闇の魔力に犯されてそのまま死者になるか魔物と化すだけだ。指輪の支配力はそれでも働くようだがな。」
「じゃあ、あれは…。」
 ローヴェは振り返った。
 その先では、再び沈黙した魔物が静かに横たわっている。
 男は答えを告げた。
「お前の知っているイリーネはもうどこにもいない。あそこにいるのは、イリーネという名を覚えた一匹のただの魔物だ。」

 ローヴェはその場に崩れた。
「…そんな。」
 うなだれ、力なく座り込む。
 その背に向かい男の声はなおも飛んできた。
「それがお前のしたことだ。」
 大地に当てられたローヴェの手は震えている。
 だが男の声は容赦がなかった。
「お前が指輪を盗み出したがために、この災厄が生まれた。」
「…やめろ。」
 ローヴェは拳を握りしめた。
「お前がここに指輪をもたらしたがために、神殿の人間が犠牲になった。」
「やめろよ。」
 握りこんだ石が掌に深く食い込んでいく。
「お前が指輪を使ったがために、その娘は死体さえも残らない死を迎えたんだ。」
「やめろーっ!」
 ローヴェは叫び、その石を投げつけた。
「―っ!」
 鈍い音がして男がくぐもった声を上げる。
 ローヴェはそこから立ち上がると男へと向き直った。
「お前に、何が分かるんだっ!オレはただあいつを助けたかっただけなんだ―あいつに、もう一度笑ってほしかっただけだったんだっ!」
 顔を押さえる男に向かって、最後の叫びをぶつける。
 そして、そのままローヴェは闇の中へと駆け出していった。



 草むらは、夜露にかすかに濡れていた。
 多分ここは街外れの川原だろう。どこをどう走ったのかはよく覚えていないが、何となくそれだけは分かった。
 ローヴェは痛む足を引きずりなおも歩いていたが、ついにここで地面へと倒れた。
 冷めた大地が体の熱も奪っていく。
 力の入らない手で何とか体を起こそうとしたが、支えきれず、仰向けに転がるしかできなかった。
 頭上には遥か遠く、星の光が疎らに散っていた。
「…オレは、ただ、あいつを助けたかっただけなんだ…。」
 ローヴェはかすれた声で呟いた。
 耳の奥に声がまだ響いている。
 偶然聞いた噂。屋敷の使用人の声。突然現れた男の言葉。僧侶の女性の静かな声。魔物の叫び…。
 そして。記憶の向こうで笑う、少女の声。
「…イリーネ。」
 その名を呟いた時、初めて、目元が熱くなった。
 闇の中の光点が滲んで消える。
 男は言った。彼女を殺したのは自分だと。たとえそれが意図しなかったこと、知らなかったことであってもだろうか。
 彼女を助けようと力を持つ指輪を使った、ただそれだけだったのに。
「ごめんな。」
 謝る言葉はもう届かない。彼女は死んでしまったのだから。
 いや。彼女が目を覚まさなくなったあの頃から、もう自分の言葉は届いていなかったのかもしれない。
 何もかもが無駄だったのだろうか。ただ、災厄をもたらしただけの。
 かすかな耳鳴りが聞こえる。
 イリーネは怒っているかもしれない。だけど、視界によぎるのは、まだ覚えている彼女の笑顔ばかりだった。
 見てる方も嬉しくなる花のようなあの笑顔。
 震える唇を動かして、ローヴェはそれに答えるように笑おうとした。
「オレは、あいつにまた笑ってほしかっただけなんだ…。」
 呟き声は虚空に消えた。
 その向こうでは、イリーネが笑っているというのに。
 まだ耳鳴りが止まない。
 うなるような声。そして、最後に聞いたあの言葉。
 ―イリーネは、あの時また自分の名を呼んでくれていたのに。
 そう。神殿の暗いベッドの上で、目を開けたイリーネは確かに自分を見つめてくれた。そしてまた名前を呼んでくれた。
 また、笑ってみせてくれた。
「なあ、笑ってくれてたよな…。」
 指輪は魔物を作るだけの品に過ぎないと言っていたけれど。
 だけど。指輪をはめたあの時、イリーネは目を開けて、確かにまた微笑んでくれたんだ。
「……イリーネ。」

 ローヴェはもう一度その名を呼んで、目を閉じた。
 その頭上では広がる空がうっすらと光を取り戻していた。
 暗い夜が、もう明けようとしていた。

                     ―end.



〈あとがきのたぐいのおまけ〉
 ―というわけで、「Ring of Eternity」は終了でございます。はい。
 前置きはこれくらいにして。みんな、お久しぶりーっ♪(喜)昨年度は「別人格もがんばってみようキャンペーン」てなわけですっかり出番のなかったいづみですが、ようやく帰ってきました!ただいまっ!そして新人の方は始めまして。よろしくっ!えーと、おいらはライトなファンタジーを担当している「いづみ」と申します。以後よろしゅう。
 で、挨拶はここで終了(早)。いやあとがきのスペースはあまり余裕がないので。つーわけで、早速ここからは今回の作品の話にまいります。しかし…それにしても今回の話、暗いですな(汗)。というかきちんとオチてないような(酷)。いや、本来ならいづみはライト担当の人格なのに、昨年度のキャンペーンの副作用を微妙に引きずっているのかひどくシリアスな話となっております。どうしましょう。どうしようもないですね(爆)。とりあえずあまりお気になさらないで下さいませ。たまにはそんな時もある…ということにしておきます(え)。それからもう一つのツッコミポイントはまああまりにもベタな少年少女の恋愛未満な関係でございますが、…うん若いっていいね(爆)。ということで見逃して下さい。
 まあ一応本編で語れなかった部分を一つだけ補足しておきます。…本編中で説明できなかったとは未熟も甚だしいのですがまあそれは置いておくとして(逃)。ワタクシいづみの書くオリジナルなファンタジーの世界、自称B.L.世界はまあこてこて中世風ありがちRPGちっくな世界でございます。で。この世界のルールとして一つ定めてあるのが「死者の蘇生は認めない」ということであります。…ええと某長編の主人公に関してはつっこまないで下さい。アレは主人公特権で特例としておりますので(違)。まあとにかく、死者はえらい神官でも生き返らせられないんです。だからあの『永遠の命を保つ指輪』に関しても、ローヴェ君が言うようにあの世界ではおとぎ話でしかないということなんです。…そんな重要なこときちんと本編中で説明しきれや自分。
 ではここで閑話終了。…何はともあれ、読んで下さった方に楽しんでいただけたら作者としては何よりなんですが。あ、でも今回の話じゃ楽しくないかもしれな(以下略)。
 ―それでは皆様この辺で☆(爽)読了ありがとうございました、また次の作品でお会いしましょう。じゃあばいばーい☆


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