うぉ〜ず
おたく戦争
(不審部6人リレー)   第4章 (4/6)


 その瞬間僕の頭に閃いたものを漢字四文字であらわすとこうだった。
「拉致監禁」
 いかん、毒されている。目の前のオギワラ(僕は彼をそう決めつけた)はとても友好的な笑みを浮かべているというのに。頭からその四文字をかき消す。ここまでに要した時間は0.3秒だった。
 しかし、この遅延が致命的だった。
「結界子、射出!!」
 そうオギワラの声が聞こえたと思った瞬間、
  ザアッ
 音がし、目の前が紅くそまる。
「こ、これは紅の結界! まさか……完成していたなんて」
 副部長のうめき声がきこえる。しかし、
「誰が結界子を射出しろと言った! 命令以外の攻撃をするな!」
 と、女の人の怒声がひびいた。そして……
「オンキリキリバサラウンパッタ!」
  バキンッ
 謎の呪文と共に結界(?)がこわれた。煙の中から姿をあらわしたのはショートヘアーでキツめの美人だった。しかもご丁寧にスーツ着用である。
 そしてここまできて僕は一つのことに気がついた。ここまでのパフォーマンス……これらは全て、サイレントメ○ウスだ。奴らは……本気だ。こちらも本気で行かなければつぶされる。しかしこれに気づく事までもが遅かった。
「ウン、カン、ソワカ!」
 声がきこえた瞬間僕の腕の中にはポテトチップスの袋がそれも5つもあたかもそこに存在するのが当然のように――鎮座ましましていた。しかも『新製品、ジャガイモの素材感UP!』と書かれている。どうやら新製品らしい。
 ふと視線を上げると、スーツ女が目の前にいた。そして、
「超特売! 1つ100円のものをなんと5つで600円!」
と言い放った。僕は助けを求め周りを見まわしたがそこには同じようポテトチップスの袋を抱えた人――もちろんあにめ部員だ――が5人いた。まずい。これは本当にまずい。今聞いたことが本当なら、あにめ部はパソコン部に500円分取られるのだ。このままでは……負ける!
 スーツ女がさらに口を開いた。
「試合とは……所詮試し合い。実戦とは違う」
「くぅっ!」
 副部長がうめいた。
 その時だった。
「俺にとって空手とは……道具!」
 叫んで飛びげりを仕掛ける部長。
「君では……とてもとても無理だ」
 そのけりをうけとめるスーツ女。
 そのままにらみ合う二人。
 何なんだ……。
「グラッ○ラー刃牙……」
 後ろで会計がつぶやく。
 いったい何が起こってるんだ。


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